Vol.51 心を支える「チームの小さな声かけ文化」
- 睦美 柴

- 5月21日
- 読了時間: 3分

こんにちは、人的資本健康経営コンサルタントの柴です。
忙しい日々の中で、何気ない「ひとこと」に救われた経験はありませんか?
「大丈夫?」「今日は顔色がいいね」「ちょっと休もうか」
そう、たったこれだけ。でも、この小さな言葉の積み重ねが、実は“働きやすい職場”を形づくるカギなんです。
今回は、“声かけ文化”がチームの安心感と生産性をどう育てるか? そしてその文化をどう根づかせるか?についてお話しします。
1.「あの言葉があって、救われた」——声かけの力を知っていますか?
ある製造業の職場で、社員Aさんが体調を崩しかけていたときのこと。繁忙期でみんながピリピリしていた中、同じチームの先輩が「最近ちょっと疲れてない?」と声をかけました。
Aさんは涙ぐみながら「実は家族の介護があって、寝不足で…」と打ち明け、そこから職場のサポート体制が整えられました。
その後、Aさんはリズムを取り戻し、プロジェクトも無事完遂。
この一件があってから、そのチームでは「ちょっと気になったら声をかける」文化が定着し、メンバーの定着率が大幅に改善されたそうです。
「小さな声かけ」は、“早期気づき”と“関係性の質”を変える大きな力を持っています。
2. 「言っていいのかな?」が、職場の無言化を招く
多くの企業で「メンタルヘルス対策をしています」と言っていても、実際には「困っていても言えない」「言葉にできない」空気があるものです。
なぜなら、“声かけ”には次のような壁があるからです。
上司や同僚が忙しそうで、話しかけるタイミングがわからない
「余計なお世話かも」と思ってしまう
相手の反応が読めず、避けてしまう
声をかけても「うん」と返されるだけで、対話にならない
こうした“声かけのブレーキ”が組織にあると、メンタルの変化は見逃され、結果として「不調の深刻化」や「突然の離職」といったリスクにつながります。
人的資本経営が求めるのは、“仕組み”の導入だけではありません。社員一人ひとりが「お互いに気にかけられる関係」であること。そのために“日常会話の質”を見直すことが重要なのです。
3. 声かけは「センス」じゃない。“習慣”にしていく方法
「うちの職場は、もともと無口で…」そんな声も多く聞かれます。ですが、声かけ文化は生まれつきの性格ではなく、職場ぐるみで育てられるものです。
おすすめのステップは以下の通りです:
✔ ステップ1:声かけのハードルを下げる
「今日は天気いいね」「最近どう?」など、業務外の話題もOK。まずは“会話の入口”を意識しましょう。
✔ ステップ2:声かけトレーニングを導入
1on1やチームミーティングの中で「気づいたことを口に出してみる」練習を定期的に行います。ロールプレイや「声かけワード集」を使うのもおすすめ。
✔ ステップ3:「声をかけてもいい空気」を設計
声をかけたら「ありがとう」と返す、“受け止めの姿勢”をマネジメント層から発信。感謝や共感の言葉を日常的に交わす文化を育てていきましょう。
このようにして、“声かけ”を「文化」として浸透させることで、チームのつながりが強まり、不調の早期発見・予防につながっていきます。
✅まとめ
「声をかける文化」は、健康経営・心理的安全性・エンゲージメントすべてに通じる“土台”です。「大丈夫?」と一言かけられる職場は、どんな制度よりも安心感があります。
WellBridgeでは、理学療法士・心理職・コミュニケーション研修の専門家と連携し、こうした“声かけ文化”の定着を支援する仕組みづくりをお手伝いしています。
管理職研修や風土づくりのご相談も、お気軽にお声がけください。
執筆:WellBridge 柴






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